ペストはカミュが1947年に発表した作品です。ペストに感染した市民の抱える苦悩とそれに向かって団結していく市民の様を描いた作品です。不幸に見舞われてしまった人間たちの関係性について問題提起が行われています。カミュはこの作品で、クリティック賞を受賞しています。

物語の展開

作品の中には医者、市民、よそ者、逃亡者と行った様々な登場人物がでてきます。それぞれの立ち位置はもちろん異なっていますが、全員がペストに向かって立ち向かっていきます。その中で登場人物の間にお互いに助け愛の気持ちが生まれてきます。文中の個々のセンテンスには複数の意味合いが込められているところが、カフカの審判と同じ意味を持っています。

物語のポイント

カミュの主張はかなり辛辣なものとなっています。結局人間は何もコントロールすることができないという人生における不条理を物語の中で力説しています。世の中の無慈悲さを切々と訴えています。

物語の結末

ペストによって死んでいく人が増える事によって、街は大きな混乱を招くことになります。必死の治療を行っている医師の姿や、このような病気が蔓延したのは人の罪のせいであるという司祭の姿のなかで、人間の命のはかなさだけがクローズアップされていきます。ある時を境にペストは終息していきます。病気の終息に合わせて市民は普段の生活に戻っていきます。しかしながら、終息したのにも関わらず、病気によって死んでいく人もいるのです。何とも言えない無常観が残る作品となっています。人生のはかなさと孤独を感じることになるはずです。

関連作品と翻訳

カミュのペストの冒頭の部分で、浜辺で射殺された男の話が出て来ます。これが、カミュの代表作異邦人で主人公が射殺したアラブ人と考えられています。非常に感動的な作品と言うこともあって、日本語の翻訳書もこれまで多く出版されています。

まとめ

カミュのペストは人間の命のはかなさを知らせてくれる作品となっています。いろいろな角度から物語を解釈することができますので、自分なりの考えで物語の奥深さを堪能してみてもいいでしょう。日本語訳は何冊が出版されていますので、自分のイメージと照らし併せて見ることもお勧めです。本当の魅力は原作でなくてはと考えるのであれば、日本語訳を参考にしながら、原作を味わってみてもいいでしょう。自分の人生を振り返らせてくれる大きなコンセプトを持った作品です。