文学にあまり詳しくない人でも、アルベール・カミュの名前は知っている人も多いでしょう。小説「異邦人」で注目を集め、エッセイや創作家など幅広く活躍しました。1956年にはノーベル文学賞を受賞しました。46歳の時に不慮の事故でなくなってしまったのですが、生前彼は多くの名言を残しています。

1.幸せになるためには、他人に関与しすぎてはいけない。

カミュの作品の中でも代表作のひとつとされているのが「ペスト」です。最初は人々がそれぞれの主張をしていたのですが、ペストという共通の強敵を前に徐々に団結していくというものです。新型コロナという新たな道の敵の脅威にさらされている私たちにオーバーラップするところもあります。表題の明言は、このペストの中で取り上げられています。

人々の価値観は異なります。自分の幸せが、他人にとって同じものとは限りません。自分の価値観を押し付けると、相手はストレスに感じてしまっていずれ爆発する可能性もあります。それぞれが独立した個体であることを理解したうえで、共存を目指すのが理想なのでしょう。

それぞれが考えて共闘する

「ペスト」の中に登場してくる市民はキャラクターも多種多様です。最終的には共闘することになるのですが、誰かが強制したものではありません。それぞれに現状の中で生きるとは、幸せとは何かを考えました。その結果、次第に助け合うのがベストだと考えるように至ったのでしょう。

2.われ反抗す、ゆえにわれら在り

こちらの表題はカミュの著作の「反抗的人間」の中で登場してくるセリフです。作品の中でももっとも有名な一説です。犯行とは全人類の上に最初の価値を作り上げる場という考え方が根底にあります。反抗し連帯することは大事ですが、別に暴力に訴えることを意味しているわけではありません。正悪の価値基準がありますが、時に自分の価値観と相いれないこともあるでしょう。もし違和感があれば、同じ考え方を持った他者と協力して解決することを意味しています。

理屈と感覚の重要性

理屈を立てて合理性を立証できても、時として感覚的にしっくりこないことも出てくるでしょう。そんなときには自分の感覚を信じるべきであると、カミュのこの言葉を解釈することも可能です。ふさわしくない、自分の肌に合わなければ、合理的でも信じるべきではないというのも一つの生き方でしょう。そしてあなたの持つ感覚を共有するような人間がどこかにいるかもしれません。そのような人との関係は大事にした方がいいというカミュのメッセージも込められているのでしょう。

3.まとめ

カミュはここで紹介されたもの以外でも、いろいろな作品の中に格言とも言えるような名言がちりばめられています。もはやカミュその人はこの世にはいないので、その名言の意図することはもはやだれも正しくはわからないでしょう。しかしカミュが何を感じ、何を考えこの格言を出したのか考えるとなかなか興味深いかもしれません。