フランスの小説家のアルベール・カミュというと「異邦人」や「ペスト」をイメージする人も多いかもしれません。しかしカミュはこの2作品以外にも、さまざまな著作を執筆しています。これからカミュの作品を読みたいと思っている人のために、おすすめの著作をいくつかピックアップしました。

幸福な死

こちらの作品の主人公はメルソーです。平凡なサラリーマンで質素な暮らしを送っていました。そんな中彼は、自分が幸せになるためには時間が必要だと考えだします。時間を得るためには金が必要だと思った彼は、お金持ちのザグルーを殺そうとするというストーリーです。

死後に発表された作品

実はこの作品、カミュの死後に初めて発表されました。カミュには奥さんがいたのですが、彼女に近い研究者たちの力によって1971年に刊行されました。ちなみにこの作品そのものは1938年ごろに執筆されたとみられています。彼は当時貧乏な生活を強いられていて、経済的に悲惨な状態からくる犯行がテーマになっていて、その当時の彼の経済状況が反映されている作品とも言えます。経済と犯行が強く結びついた作品は、カミュの作品の中ではこれくらいのものと言えます。幸福な死は構成のまとまっていないところも少なくありません。散文として読むような感覚がおすすめです。

転落・追放と王国

こちらの作品はクラマンスという弁護士が主役です。彼がある時パリの橋の上を歩いていたときに、背後から笑い声がするのに気づきました。そこから自分の持つ二重性を見出します。その後彼は弁護士の仕事を辞めて、ホームレスのような生活を始めます。夜な夜なバーに繰り出し、ほかの人たちに自分の身の上話を聞かせるようになりました。

カミュ・サルトル論争の果てに

カミュは一時期、サルトルと論争をしていた時がありました。結果的に彼は、フランスの知識人たちに敗北してしまいます。その後彼はしばらく沈黙を守り続けていたのですが、4年後に発表された作品です。これまでと小説のスタイルが大きく変化していました。このため、カミュはキリスト教に改宗したのではと言われたほど、話題になった作品です。非常にアーティスティックな作品と評価されています。ただし全体を通じて、重たく息の詰まりそうなテイストの物語が展開していきます。精神的に疲れているときに読むと、さらに辛い思いをするかもしれません。コンディションの良い時に目を通したほうがいいでしょう。

まとめ

カミュの作品を見てみると、全体的に重厚なテイストのものが多いです。このため、読むのがしんどいという意見もしばしば目にします。確かに暗めの作品が多いです。しかしカミュの作品の多くは、いわゆる短編です。ボリュームはさほどないので、空き時間を使ってサクサクと読めてしまえるものばかりです。ここで紹介した作品のほかにも、いろいろと呼んでもらいたい著作もあるので自分好みの作品を探してみませんか?